菅野美榮・「ロウ(蝋)の誘惑」展
About Wax
「ロウ(蝋)」は化石燃料、生物、植物などから採取される物質で、古代からあらゆる分野で使われてきました。美術ではギリシャ時代の壁画に顔料をまぜて使用されたのが始まりといわれ、エンコスティック、蜜蝋画等、様々な手法がおもしろく広まっています。
菅野美榮さんは美術に関わりをもった初期の頃からロウを使い、以来研究を重ねて多くの魅力的な作品を発表されてきました。現代アートでは、作家は創作に当って自分のイメージに馴染む素材を選びますが、その素材との相性に加えて技術面の努力と想像力が大切な要素になります。ロウの作用が作家の創造性を刺激し、感性を育てていくというプロセスの積み重ねがあって、作品が表現として自立して人の心をとらえる力を生みます。
作家にとって素材との出会いはとても大切です。菅野美榮さんと彼女を誘惑したロウはまさにその好例といえるでしょう。
ギャラリー砂翁&トモス
横島 佳子
2011.07.20